海外無線モジュールの日本電波法認証(TELEC, 技適)取得 – 序 : デバイス選定

またまた1ヶ月空いてしまった。初の民生小売挑戦で、出荷処理とか大変でしてなぁ。

ここいらで、商品設計と研究開発の技術屋あがりとしてはなかなかに手こずった認証手配などまとめておこうと思う。
もちろんいつもの自分用メモではあるが、小規模でやりたい方々には参考になる部分もあろうかと思うし、せっかくなのでここでまとめ。日本電波法(TELEC, 技適)のほかFCC/ICもあるし、数エントリに亘る予定。

 

まずは申請云々の前に、ターゲットデバイスを決めなけりゃ話にならない。選んだデバイスがたまたま既認証品だったら申請不要になるし。

RF設計は専門ではなく難しいことから今回の製品はアンテナ込みBluetoothモジュールを使ったのだが、まずはこの選定でひとしきり悩んだ。
選定着手が一昨年2014年12月初頭、選定完了が2015年1月末。2ヶ月かけての検討だ。

大陸製モジュール2種 : 安いがやや使いづらい。大陸文字読めないし。調達ルートがやや怪しくサポートを受けるのに不便そうだし、品質や流通も不安アリ。
台湾製モジュール2種 : 価格は安めでMOQがなく、認証は日本も取れている。が、サポートがいまいち不明快で生産実績が少なめ。
日本製モジュール3種 : 帯に短し襷に長し、MOQが大きすぎとか用途が限定されているとかサイズがデカいとか。もちろん認証は北米・日本ともOKだが価格が高くツール類提供はサポートを受ける前提。
北米製モジュール2種 : 価格はそこそこ、MOQは1000pcs、ファーム等のソースもオープン。うち1種はツール類が無償で充実していて使いやすい。

粗く述べるとこんな感じで、結果北米製モジュールを選定。
想定発売地域はUS, カナダ, 日本だが、日本はまぁ後で考えようか、とこの時は思っていたわけで。
20年前から感じちゃいるが、日本の半導体・モジュールはドキュメントやツールがサポート前提になっていて小規模では使いづらいんだよなぁ。
その点欧米系は予備知識とやる気があれば自力で使いこなしやすいんで、特に小規模応用では結局欧米系のものを選ぶことがほとんど。
もしウチに事業体力があって見込数も万単位だったら、太陽誘電とかPanasonicとか使っていたかもしれないけども、いきなりそんなギャンブルは出来ませんや。

北米モジュールは2種検討したのだが、そこからの選定理由をもうちょい細かく記すと、

北米モジュール#1(TI系) :

1: コアマイコンのファームが固定
8051コアのファームが固定でカスタマイズができない。
初期版製品では1ポートだけ使ってon/off制御だけ、だがそのタイミングはちょいと工夫あり、というものなのだが、そのために外付けMCUなどが必要になる。

TIsolution

こんな感じになるわけで、これはいささか無駄。内蔵8051で制御したいというもの。

2: コンパイラが有償製品
ファームウェアコンパイルにKEIL Cを使うが、全モジュールを一括コンパイルせねばならずサイズが無償利用できる容量を超えるので、KEIL Cを買わねばならない。
十数年前にも買ったが確かNTD10万を超えていたと思うので、少数企画にはなかなかキツい負担。

北米モジュール#2(Nordic系) :
1. コアマイコンのファームを自在にいじれる
内蔵ARM Cortex-M0のファームを自ら変更してカスタマイズできる。カスタマイズした部分のみのコンパイルでOKで無償ツールで完結する。
今回の製品企画ならモジュールのみの1chipにできる。

Nordic solution

こんなイメージで。TIソリューションより費用面・工数面で大きな利点。

2. ツールチェーンが無償
コンパイラはもちろん必要なツールチェーンが全て無償。初期企画台数1000setなのでこれは有利。
この数量でもしっかりサポートは受けられるので安心できるし、使わぬ手はない、という感じ。

こんな具合で、Nordic系モジュールに決定である。
ここで一旦戻ってみると、台湾モジュールが同じNordicチップ(nRF51822)品なのだが、北米モジュールとの値差は少ないのでサポートの後ろ盾を考えると安心が安く買えるということでやっぱり北米モジュールで決まり。今回は企画から販売まで2人でやろうという挑戦案件でもあるし。

これでメインデバイスは決定、早速選定完了直後の1月末に手作り原理試作完成。
2回の試作をはさんで8月に回路・ソフトがPP段階となり、射出成形品や機構部品に問題が出たりして遅れを出しつつも12月にPP上がり。いよいよ認証に臨もうか、という段階に。
次エントリで本題の技適認証準備ですよ。

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