ペットの犬を強制収容!?

2週間前の話でありますが・・・
11/12、帰宅後にテレビを見ていると、大陸のとあるニュースが。
『北京で飼い犬規制を強化したため、11日に数百人が北京の動物園で抗議デモを行い、警察が制止に乗り出し、抵抗する人民十数人を連行するなどした』、と。
報道は下記のような感じ。まぁ扱いの小さなニュースですな。

大紀元 : https://epochtimes.com/gb/6/11/11/n1518264.htm
asahi.com : https://www.asahi.com/world/china/news/TKY200611130172.html
Sankei Web : https://www.sankei.co.jp/news/061116/kok012.htm

抗議デモそのものは(特に都市部以外で)日常頻発していて武力衝突まで起こり、多数の方が語られているので特に私ごときが語ることも無いのですが、今回はデモのきっかけがペットの問題、且つ北京市街で起こったということで私の経験した中国大陸人のイメージと違うように感じたので興味を持ちました。
Web情報や旧友からちょっと調べてみたところ、背景としては・・・


今年、中国では多く狂犬病が発生していて、各自治体が大規模野良犬狩りなどの対策を進めているそうです。
北京市も対処として新規定を出したのですが、その内容は、
– 市中心部では
・飼い犬は一家に1匹
・体高35cm以上禁止
・気性の激しい犬禁止
この規定に反する犬に関しては強制収容

狂犬病(北京市は9件)まで行かなくとも犬にかまれる事件は非常に多い(北京市だけで11万件)ので、なんらか規制しなきゃならないと考えるのももっともでしょう。
東京と然程人口が変わらないので、東京で10万件の被害があるとしてみるとこりゃ大変なことです。
もうすぐオリンピックもあるし、もし競技場の外を使うマラソンなどで選手が被害に遭いでもしたら大問題でしょう。

中国は”人治の国”といわれます。確かに長期間行ってみるとその通りで、大陸に限らず、程度の差はあれ中華文化圏に共通して見られます。
(個人的に、最近は日本でもそうなりつつあるように感じますが)
局地的にそこにいる人が正しいと感じる行動が法律を超越するのですね。この”局地的”は非常に流動的で、1台の車の車内のみだったり家族のみだったりもします。
ペットに関してもそんな感じで、社会生活を営めないようなものが野放しになっているのかもしれません。ある友人は「その通りだ」と言っていますし。
意識を持って育てろ、ちうことです。
当然ですが、犬は体質上、人と会話は出来ません。犬が人の言うことを理解する(芸ではなく)ようになるのも、みっちり鍛えて1年はかかるでしょう。
歴代の我が家の飼い犬共は、子犬の頃は普通の鳴き声より悲鳴を多くあげて育った気がするほど厳しく育てました。飽きるほど異論は聞いたのですが、私の考えは、
・人間社会で生きることになった以上、社会性をつけなければ犬自身が不幸になる
・社会性をつけることには、去勢・不妊処置・病気予防を含む
・しつけは幼いうちが良いが、説明が通じない以上罰で体験させるべき
・相手(犬)を思い、正しい愛情をかけていれば傍目には酷い罰でも決しておかしな性質にはならない
これらは方針として持ち続けています。私が買ってきた犬共は概ね2年ほどで言っていることを理解するようになるので、それ以降は説教に切り替えていますが問題児に育ったものはありません。
届出件数だけでも犬にかまれる被害が1%もあるとは、よほど社会性の無い犬が氾濫しているようですな。親(飼い主)の責任も大きかろうて。

ちなみに北京市では、1年目RMB1000、2年め以降年間RMB500を払って登録するシステムになっているそうです。
それでも意識向上がない、ということで強行策に乗り出したのでしょうが、この規定、規定自体にも非常識なところがありますな。
ちょっとシミュレートしてみようか・・・

『私』は東京の賃貸戸建に夫婦二人で住んでいます。小さな貿易商社を営んでいます。
埼玉の友人宅で子犬が産まれました。母犬は友人のコーギー(2歳 体高30cm)ですが、父犬は不明です。しかし子犬を大変気に入り、友人の願いもあって1頭もらって飼うことにしました。
1年経ち、その犬はすっかり家族の一員となり、私達夫婦の子も同然の存在になった頃、仕事の都合で北京に引っ越すことになりました。期間は未定ですが10年程、場合によっては更に長くなります。
そこで、犬共々移住することにし、検疫を通して中国へ輸入しました。
2006年11月、北京に住んで1年経過。犬もすっかり大きくなって聞き分けも良くなり、非常に飼いやすく当に家族同然となりました。もらってきた頃は手のひらに乗るほどのチビでしたが、いまや母犬を大きくしのぐ体重15kg、体高37cmです。父犬が大きな犬だったのかもしれません。
ある日唐突に訪問者が。市の職員です。彼らの用件は『市の規定違反の犬を飼っていると連絡があったので調査に来た』とのこと。立ち入り調査の末、規定外ということで即刻連行されてしまいました。
私は引越しを前提に大事な家族である犬を返してもらうべく東奔西走しました。しかしどこに収容されているのかも分からず無為に時間は過ぎ、終に現在も消息が分かりません。
市の発表では『7日以内に里親が見つからなかった場合は国際慣例に従い処分する』とのことで、既に屠殺されてしまっているかもしれません。

もちろん全てフィクション、仮想、ホラです。私は未婚ですし、犬の親はコーギーではありません。7歳の老犬だし。しかしもし私の移住地が北京だったら、きっと近いことにはなっていたでしょう。
移住の際にほぼ一切の荷物を放棄してきたので、犬が唯一の家族・同行物です。体高は37cm(検疫書類による)あります。
友人からの伝聞とWeb情報では、主に近隣の告発によって担当者が来て、規定違反であれば登録など関係なく強制収容となるそうです。
飼い始めは規定内、育って体高35cmになったら強制収容。規定前に連れて来た体高35cm以上の犬も強制収容。まるで姥捨て山ですな。

さて、一気に戻してもう少し大きく考えてみると、何でこう大陸では遵法精神が希薄なのでしょう。
デモだけでなく、コピー品・運転マナー・納税、等など”人治の国”中国は外国人から見ると好き勝手に行動しているように感じることが多くあります。
しかしこれ、たとえば党幹部だったら見逃されるなどのことがあるからではないかと。コネさえあればOK、な状態はたとえば入出国審査でも見かけます。
政府・政治が庶民生活の範囲外にあるのではないかな。
特権階級にいるかその知人がいれば見逃される状態を見ていれば、法に対して不信感も沸くでしょう。だからこそ1人の不満にならずデモとしての活動が頻発するし、今回の動物園でのデモも通りすがりの人が多く共感し、公安(警察)に『拘束者を放してやれ!』といったりするんでないだろうか。
なんとも、全土が発狂直前になってしまってるんじゃないかと感じるのであります。

中国は、4年前に行って以来暫く見ていなかったのですが、今年6月に珠江デルタ地域に行く機会がありました。日本ではさんざんに『中国、特に長江・珠江デルタ地域は発展著しい』と聞き続けていたので、どれほどの別天地になったかと大きな期待を持っていました。
しかし実際に澳門を抜け拱北に出ると、4年前に香港の羅湖を抜けた時のイメージと変わらず。車に乗って宿まで行く途中の印象もほとんど変わりありませんでした。ほんの少し車が増えたかな、という程度。
この現状でも『確実に発展している』ということなら、きっと発展の結果がごく限られた一部に集中しているとしか思えません。
個人的には中国に住もうとは思わないので気にとめないことにしていますが、かの国は”チャイナリスク”とは別、且つ大きなリスクを背負っているように思えます。

いやー長文だ!しかしこの文を数年後に読み返すのが楽しみでもあります。

カテゴリー: ペット パーマリンク

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