水洗レジンの入手難をきっかけに3者3種のサードパーティレジンを買ってみたが、ぼちぼち届き始めたので受け取ったものから順次使ってみて所感を挙げていくことにする。
1回の打ち出しには数時間かかるし、全部揃うのを待つ必然もないやね。
比較用のモデルは、Ranni the witchで。
細かい部分が多いし、高さも低めで比較的時間短めだし、Phrozen謹製標準レジンと4Kレジンで出したし比べやすいかなって。
プリンタメーカのPhrozenは、Phrozen製樹脂の使用を指定しておらずサードパーティ樹脂の利用に問題ないことを謳っている。
サードパーティ製を使ったせいで問題が起こったなどと言われたりすることはないわけで。
ONION X-PW [飛行海工坊]
とくに何か謳っている特徴はないが、低価格帯に少ない白色ってところが良いかもしれない。色塗るなら色が薄いほうが良かろうし。
価格は$780/l。Phrozenレジンより$150安い。
液状態は水っぽくサラサラ。数値は出ていないがPhrozenレジンよりだいぶ低粘度なんじゃないかな。硬化や劣化の上で問題ないなら粘度は低いほうがいろいろ扱いやすいので、まずはかなり好印象。
Phrozenでは樹脂參數、成形上の諸設定数値が公開されているが、この玉葱樹脂はない。まぁそりゃそうかプリンタによっても違うだろうしな。なのでPhrozen標準樹脂設定でやってみる。
サポートまで含めRanni 4K版と同じモデルをPhrozen標準樹脂の設定でスライスにかけ、打ち出し開始。
別室で放置なんだけど、異音等道中目立った問題はなく、結果、
うをっ見づらい。若干透明っぽい感じの白だしなぁ。
頑張って見てみると、X-PWはAqua 4Kと比べて、
– 服の胸元の目地が出ていない
– 目・鼻・口といった顔の主パーツが不明瞭
– 髪と外套の差も不明瞭
– 外套のトゲトゲ?がシャープさに欠ける
– 帽子の立ち上がって柄っぽくなっている部分で潰れたところがある
– 顎が丸くなってたるんだ二重あごみたいになっている
– 指が短く見える
こう、全体に甘い感じだな。Phrozenの標準樹脂に近い感じか。
液状がサラサラの割に”濡れ”が多く、ディティールの甘さや顎なし口なし状態につながっているっぽい。
成形直後はふにゃふにゃクニャクニャな印象だったが、二次硬化後少し経つとめっちゃ硬くなる。今までの樹脂で最も硬くなる。すごいぞABSみたいだ。
二次硬化時にかなり熱くなったので、もしかすると層毎の照射時間を長くするべきなのかもしれん。それでもっとシャープになるかも。でも照射時間を長くするとそれだけ成形に時間かかるわけだし、あまりよろしくはないな。
とにかくカッチカチになるし、我が過去作だとラッチ箱とかに使うととても良さそう。
でもあの箱は蓋と本体の接続にピン部品を挿入するし、シャープさに欠けるとそのピンが入らないとかラッチ部がゆるいとか固くて動かないとか起こりそうだし、ダメかもな。
樹脂參數は販売者の蝦皮ページで、同種の灰色樹脂(X-PG)のものが”参考値”として見つかったので、それと同じだろきっと、ということで同じ数値でプリセット設定してみた。
でも、出力結果はあまり変わらんね。まぁこれのほうが若干早いしこのまま使おう。
値段は安めだし、Phrozenの標準の代わりには有用。
でもワシ標準は購入直後しか使っておらず以降ずっと水洗と4Kだけなので、-$150じゃ代替とはなり得ないかな。
FF10 [羽耀]
見つけた中で最安価の$700/l。しかもABS風なんですってよ。
液状態はサラサラだが、X-PWほどではない。PhrozenのWater-washableより少しゆるいくらいかな。
色は謳い文句そのもの、青っぽい灰色。
パッケージは気持ち悪い意識高い系ではなくしっかり作っている感じで、封印シールまでついていて邪魔ではあるがこれできっちり商売したろうという気構えを感じる。あまり期待していなかったが案外イケるかもな。
これも事前に探ってみたが樹脂參數は見つからず諦め気味だったが、説明書が添付されていてそれに記されていた。
我が機種は筆頭ですよ。初めてだしテキトーに買いやすいものを選んだんだが、かなり一般的なようでこういう情報で大体筆頭クラスなのはラクでよろしいわ。
でも、やたら遅いね。露光時間なんか他の倍くらいですぜ。ビルドプレートの動きも遅いし。
まーでもともかくこの情報そのものでスライスにかけ、件のRanni様を打ち出してみる。5時間ちょっとかかるんですけど。
そして結果。
これは良いぞ、思ったよりイイぞ。
ぱっと見でX-PWよりかっちり出ていて、Aqua 4Kに近い感じ。帽子が穴あきになっているのは残念なところだが、ここはモデルの時点でかなり薄い部分。でもAqua 4KはともかくX-PWでも穴は開かなかったので粘ってほしかったところだな。
FF10をAqua 4Kと細かく比べると、
– 服の胸元の目地が出ていない
– 口や服の合わせの結び目が不明瞭
– 外套のトゲトゲ?が若干甘い
こんなところ。よく見ればAqua 4Kには及ばないが、X-PWやAqua標準よりは解像度?が高い。それだけに帽子の穴開きは残念だねぇ。
ABS Likeを称するだけにこれも二次硬化後少し経つとカッチカチ。X-PWより若干靭性があるくらい。
X-PW同様、打ち出すモノによってはとても宜しげ。
X-PWより安価だがFF10のほうが精細。でも4Kには及ばない。
ならばX-PW<FF10なのかといえばそうとも言い切れず。FF10は(推奨設定では)成形時間が長いんでな。待機・照射・リトラクトと全てが長いので1.5倍くらい時間がかかる。
ZiaModel V3 [3D摩影屋]
高剛性を謳っているのでこれもABS風かもしれない。
歯型用のレジンがベースなのだそうで、購入時にいろいろ仕様や注意点を説明してくれた。出荷は遅かったけどイメージは良いやね。
Water-washableと同額の$930/lだが、ABS風ならかなりお得かもしれん。PhrozenのABS Likeは標準樹脂で水洗でもないし、$1200/lだし。
蝦皮の輸送遅延で他よりだいぶ遅れたがまぁ無事受け取り、まずはモノ確認。
ボトルが個装箱に入っているスタイルで、Phrozenと同じ方式の梱包だな。
樹脂參數は、箱とボトルにGoogle driveアドレスのQRコードラベルが貼ってあってそこに設定のキャプチャ画像がある、っちゅうもの。
WebアドレスならQRは宜しくないよなぁ。提供側は楽で良いんだろうけどさ。
こっちはカメラで読んでPC上のスライサを設定するんでさ、携帯電話カメラで読んでそのまま携帯電話ブラウザでDriveに行き、自分のDriveにそこのショートカットを作ってPCで自分のDriveにアクセス、樹脂參數画像を開いてスライサに登録、っていうなんかメンドクサイことをすることになったぞ。
これも露光時間が4秒とか5秒とか長い。ビルドプレートの動きはさほどでもないんだが。
挙がっている情報はSonic Mighty 4KとSonic Mini 8Kしかなくて我がSonic Mini 4Kそのものはないので、両者を参考にこんな設定にしてみた。
ボトルラベルは、中華ではこれが意識高い系になるのかな、派手でやたらトゲトゲカクカクのデザイン。ゲーミングなんちゃらなデザインだ。
SYMやKymcoの旗艦車種のデザインを見てもらえるとイメージが湧くと思うが、ああいうのが今の華人は大好きらしくてなぁ。
果ては日系企業であるところの日勤先が全世界向け新製品で”外観インパクトが低いデザイン”とか言ってシャープエッジスパスパのピラミッドみたいなもん出してきて唖然。世界の人民は中華人民しかいないのかよ、ってなもんだ。
液状は、サラサラだがX-PWより若干粘度がある感じ。粘度ではX-PW<ZialModel V3<FF10<Phrozen Water-Washableかな。
色がもう、すっごい青い。とてもとても青い。透明がかったニベア缶ってくらい青い。
これ打ち出すとどんなんになるんだろうな。すごそうだな。
ではいってみようかRanni様。
ゔぉー青いね、透けてるね。
これも帽子がアナーキーだが、解像度?再現精度はかなり良くてAqua 4K並み。
一番上の服の合わせ目結び目とか胸から帯にかけての服の皺などはAqua 4Kよりしっかり出ていたりもする。
二次硬化後の固さはFF10同等。
しかも水洗いできるしこれがサイコーか、としたいところだがかなり大きな欠点として成形に時間がかかる。コレ7時間ちょっとかかってますのよ。
ProzenのWater washable含む各種やX-PWが4時間のところ、7時間はねぇ。
でも透けているとか4K並みの精度とか、失敗続きのDice Towerを出してみたくなったわ。でもアレ制限高さいっぱいに近い代物なので、十数時間かかるだろうな。休日前日の寝る前に仕掛けるくらいでいかないと。
結局のところ、総体的には今まで通りAqua 4KとWater washableを持っておくのが良い、ってことになったな。
この一連の検討の間にWater washableの状況も復活したし、やっぱ次はWater washableを買おう。