低俗の極み

【名言か迷言か】

 鳩山由紀夫首相の発言をあげつらうことが当たり前になってしまったので、この欄では書かないようにしようかなとも思ったが、思わず、苦笑いするセリフを見つけたので、書くしかない。

 発言は、1月18日の夕方、都内のホテルで行われたバンクーバー五輪壮行会での出来事。10分ほど遅れて会場に現れた鳩山首相は、短いあいさつで選手団を激励した。

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記事本文の続き その中に不思議な発言がちりばめられていた。

 まず冒頭、「遅参してしまったことをおわび申し上げます」。そして、続けて「心からお祝い申し上げます」。ここまではノーマルだった。

 そして…。

 「私もそうですが、緊張しすぎると、思うようなにいきません。ここは緊張しないで、練習やっているつもりで本番に臨んでいただくと最高の結果がでると思います」

 よくある選手の緊張を解きほぐそうとする発言ですね。でも、鳩山首相が言うとなんか違和感がありますね。「私もそうですが」という前置きが気になります。

 「なるほど、鳩山首相自身も、いざというときは、練習をやっているつもりで臨むことで、緊張を解きほぐそうとしているんですね。ひょっとして、練習のつもりで、政権運営しているんじゃないでしょうね」とチャチャを入れたくなるんです。

 そして首相は、暴走気味になった…。

 「できれば、長野五輪を超える成果を国民の皆さんが期待しています」

 おやおや、練習のつもりでリラックスと言っておいて、今度は一転してプレッシャーですか。

 「期待に押しつぶされないようにしながら」

 次は、フォローですね。

 「しかし結果としては、素晴らしかったねと日本の皆さんが言ってくれるような五輪になるよう活躍してください」

 やっぱり活躍しろっていうプレッシャーですよね。

 鳩山首相は、こんなことも言っていました。

 「自分の息子がスポーツやっていたら、大変だったんだな。親として心臓が張り裂けるような、そんな思いだろうと思います」

 首相は、自分の子供が五輪選手でなかったことを、本当に喜んでいるみたいだ。つまり、その会場を埋めていた選手団関係者にケンカを売っているようなものですね…。

 鳩山首相の発言は、一言だけならなんとか理解できる範囲だが、発言のタイミングと、前後の脈絡がずれている。

 若輩ですが、鳩山首相、私の進言もお聞きください。

 頭に浮かんだことを、片っ端から口にするのは、もうやめた方がいいですよ。ペラペラしゃべるからと言って、誰も褒めてくれないことも分かってきたでしょう。鳩山首相が、壮行会で原稿を読むような古くさい政治家じゃないことは分かっていますから、原稿なしでもいいですけど、それならそれで、ちゃんと準備してからしゃべった方がいいですよ。大人なんだから。もう少し咀嚼(そしゃく)してから話しましょう。そうでないと、ただ適当な、その場限りの発言だと思われますよ。(金子聡)
 ◇…政界語録…◇

(15日)

 ▽大きな議論を

 鳩山首相 与党だけではなく野党にも求められている話だと思うが、この国をどうするという大きな議論を政治主導で行っていきたい。(通常国会への意気込みを問われて記者団に)

 ▽てんやわんや

 大島理森自民党幹事長 政府は政治資金問題でてんやわんやしているとは思うが、世界の中で共に歩む姿を一日も早く見せてほしい。(ハイチの大地震に対する日本政府の支援について記者団に)

(18日)

 ▽ナンセンス

 鳩山首相 政権と民主党が一体なのは言うまでもない。誰と誰が一蓮托生(いちれんたくしょう)とか、そういう議論はナンセンスだ。(土地購入問題で小沢幹事長の続投を承認したことに関し、今後、政治責任を取る可能性について記者団に)

 ▽エラーでは勝てない

 舛添要一前厚生労働相 敵のエラーだけで勝てない。自分でヒットを打って、ホームランを打ってやらないといけない。(土地購入問題などへの自民党の対応について記者団に)

(19日)

 ▽探偵まねても

 亀井静香金融担当相 国会が対応できる範囲は限られる。事実が確定しないのに、詳細が分からない国会議員が探偵ごっこのまねをしてもしようがない。(小沢幹事長の政治資金問題について記者会見で)

 ▽何様だ

 谷川秀善自民党参院幹事長 聴取を受けるのは当たり前で、出ないなんてとんでもない。率先して行くべきで、何様だと思っているのか。(小沢氏の事情聴取について記者会見で)

(20日)

 ▽夢語りたい

 菅直人副総理・財務相 財務相は、どちらかといえば現実そのものに対応する仕事が多い感じがする。夢を語ることも併せてやっていきたい。(財務相兼務の感想について記者会見で)

 ▽どこが変わったか

 石破茂自民党政調会長 民主党に失望したが、自民党にも任せる気にならない。どこが変わったか全然分からないということだ。私どもの努力が足りない。(自民党支持率が上がらない理由について記者会見で)

(21日)

 ▽ごう慢さの表れ

 安倍晋三元首相 今の民主党政権は国を担う者が踏まえなければならない基本を大きく踏み外している。中国の習近平国家副主席の会見問題もそうだ。ごう慢さの表れだろう。(町村派の派閥総会であいさつ)

 ▽政策論争しっかり

 鳩山由紀夫首相 政策論争をしっかり行って、1日でも早く国民の皆さんの暮らしがよくなるように補正予算の成立に尽くしていきたい。(通常国会の予算審議について記者団に)

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