新iPhoneのアンテナ

なんか新iPhoneのアンテナ設計が悪いとかでゴタゴタな動きがあるとか。
まーありゃ知っている方々にとっちゃ発表の時点から予想していたことだろうし、そのうちAppleはお膝元で面倒に巻き込まれることになるだろうからワシゃ語らん。

で、なにを語るかというと日本の雑誌屋のWeb記事にテキトーな言い分かましてみるのだ。

ネタは、日経BP社のTech-On 【iPhone4分解その4】予想外のアンテナ問題だ。 
このサイト、見るには登録が必要でかなり面倒なのでガリガリ引用してしまおう。

エントリの前提は、iPhone4のアンテナ問題を聞いた”日経エレクトロニクス分解班”なる組織が、”技術者”複数名を加えて分解検証してみた、ということ。

『分解前の技術者の予想では，スリットを境にアンテナとグランドになっており，そこを手で電気的につなぐことで受信状態が不安定になるとのことだった。立ち会った技術者と分解班は皆，この予想に納得した。』

そりゃまあな。発表では電話通信アンテナとその他無線のアンテナに分かれているらしいから、触ってエレメントをショートすることになりゃ劣化しますわな。

『すべての部品の分解が終了後，念のために黒いスリットで三つに分かれた金属部分をテスターで調べてみた。それぞれの金属部分が電気的に分離されていることを確認するためだ。ところが，予想を覆して，三つに分かれた金属部分は電気的につながっているという結果となった。テスターの調子が悪いのかもしれないということで，何度が試したが結果は同じだった。』

・・・おいおい。
もう非常に怪しいっすね。テスター、というと連想するのは中学校とかでも使うアレで、直流抵抗をはかっているんじゃないかこやつら、ってな。
専門用語を知らぬ雑誌屋さんが、実はちゃんとしたアナライザをテスターと書いてしまったとかもないとはいえないが、文脈からもそれはたぶんない。

『どういうことか。技術者はもう一度，分解した部品を調べてみた。その結果，アンテナ素子は本体内部に存在し，本体側面の金属部分は全体がグランドになっているとの新たな予想を披露した。左下スリットの近くにあるスピーカ・モジュールにアンテナ素子と見られる部品があり，そこから配線を介して筐体に接続してあった。このアンテナ素子と筐体側面のグランドで，3Gのアンテナを構成しているというのだ。』

いくらなんでもそんな意味なしなことはしねーだろーよ。

『配線を筐体と接続している部分が，左下のスリットのやや下側にある。このため，この部分を手で触れると受信状態が不安定になるとみられる。分解に立ち会った技術者は，このような結論に至った。』

何で? ねぇなんで?
“このため”の前後がつながらないんですけど。

まーなんだね、電気技術ジジィ的には、複数人技術屋が居てわざわざ分解検討までしてこんなトンデモ結論になるなんて異常だ。
移住の時にも感じていたんだが、もう日本ではモノ作れない状態なんじゃなかろうかねぇ。知識も経験もショボ過ぎる。

誰かが指摘するであろうしそうあってほしいと切望しているが、アナログ常識として直流抵抗と交流抵抗は別なのだ。
携帯電話通信の周波数はGHｚとかなので、電波にとっては超高抵抗でもテスターでは導通状態、なんざフツーにある。ちゅうか、ESD(静電気バチッ)とかの不具合防止で直流的に導通させておく、なんてのはセット設計のこれまた常識といえよう。

やっぱ日本はモノ作らずにIPとかだけで生きていくようになるんかねぇ。
言語でRTL組むのも必要、シミュレータに頼るも結構。しかしどういう電気的理屈でその設計結果や検証結果になるのかを知っておかんと、技術屋じゃなくてただのツールオペレータだぞ。
マイコン積んでフルソフト制御するのも結構。展開が楽になるし。しかしその手法が本当に妥当か、レガシーな手段のほうが様々な面で効率的ではないか考えられないと、無個性なものしか扱えなくて真の技術屋ではないぞ。